生成AIクリエイティブの表示ルール|YouTube・TikTok・Meta実務比較

生成AIクリエイティブの表示ルール|YouTube・TikTok・Meta実務比較

生成AIを使った事実だけで一律に同じ表示をするのではなく、現実的な人物・出来事をどの程度生成または改変したか、広告案件か、権利処理が済んでいるかを別々に判断する必要があります。主要3プラットフォームの現行ルールと公開前フローを比較します。

AI利用を一つの箱に入れない

生成AIは、企画の壁打ち、台本の下書き、字幕作成、画像の部分修正、声の合成、実在人物の置き換えまで用途が広く、リスクも同じではありません。公開前に「AIを使ったか」だけを聞くと、軽微な制作補助と、視聴者が現実だと誤認し得る生成表現が混ざります。

YouTubeは、現実的に見える内容をAIで意味のある形に変更・生成した場合の開示を求めています。実在人物がしていない発言や行動をしたように見せる、実際の出来事や場所を改変する、起きていない現実的な場面を生成するといった例です。一方、構成案、台本、サムネイル、タイトル、インフォグラフィックの制作補助や、軽微な色・画質調整などは開示不要の例に挙げられています。

運用フォームでは、AI利用を「企画補助」「軽微な編集」「非現実的な表現」「現実的な生成・大幅改変」「音声・人物の合成」に分けます。そのうえで、プラットフォーム表示、広告表示、権利・同意の3系統を別々に確認します。

3つの表示を別々に判定する

第1はAI生成・改変の表示です。視聴者が映像や音声を現実と受け取る可能性を中心に、各プラットフォームの投稿設定を確認します。第2は広告・PRの表示です。AI生成であることを示しても、広告主との関係性を示したことにはなりません。第3は権利と同意です。AI表示を付けても、肖像、声、著作物、商標、契約上の利用範囲が自動的に解決するわけではありません。

この3軸を一枚の承認表にすると、「AIラベルを付けたから公開できる」「PR表記があるから人物の同意は不要」といった取り違えを防げます。特に実在人物の声や顔を扱う場合は、本人確認、利用目的、媒体、地域、期間、再編集、学習利用の可否を契約で明確にします。

CASTA ORIGINAL MATRIX

公開前に分けて確認する3つの表示軸

  1. AXIS 1AI生成・改変

    現実的か、大幅な変更か、投稿設定が必要か

  2. AXIS 2広告・PR

    広告主の関与と関係性が明瞭か

  3. AXIS 3権利・同意

    人物、声、素材、二次利用の許諾があるか

Casta編集部作成。どれか一つの表示で、残りの確認を代用することはできません。

YouTube・TikTok・Metaの違いを把握する

YouTubeではアップロード時の属性にAI利用の設定があり、現実的な生成または意味のある改変に該当する場合に申告します。申告しても、動画の視聴者数や収益化資格には影響しないと公式ヘルプは説明しています。継続的に必要な開示をしない場合、YouTube側でのラベル付与、コンテンツ削除、YouTubeパートナープログラム停止などの措置対象になり得ます。

TikTokは、完全に生成または大幅にAI編集したコンテンツへの表示を推奨し、現実的な画像・音声・動画を含むAI生成コンテンツには表示を求めています。投稿設定のクリエイターラベルに加え、説明文や画面上の文脈も利用できます。TikTokのAIエフェクトやContent Credentialsなどを手掛かりに自動ラベルが付く場合があり、自動ラベルは投稿者が外せないことがあります。適切に表示しガイドラインへ違反していなければ、設定自体は配信へ影響しないと案内されています。

MetaはFacebook、Instagram、Threadsの一般投稿について、投稿者の自己申告や業界標準の信号をもとに「AI info」情報を表示する方針を示しています。広告では2026年6月の更新として、Metaの生成AI機能で作成・大幅編集した広告に加え、第三者AIツールを業界標準の信号で検出した場合も「About this ad」内へAI情報を表示する展開を案内しています。一般投稿と広告で表示場所や条件が異なるため、入稿画面の最新状態を確認します。

素材台帳で生成過程と同意を残す

案件ごとに素材台帳を作り、素材ID、作成者、使用ツール、生成日、プロンプトや編集指示の保管場所、元素材、利用許諾、人物・音声の同意、出力後の人手編集、公開媒体を記録します。プロンプト全文を関係者全員へ公開できない場合でも、誰がどこで復元できるかを決めます。

完成ファイルだけを受け取る運用では、後からAI利用の範囲や権利処理を説明できません。制作会社やクリエイターへ外注する場合は、利用ツール、第三者素材の持ち込み、実在人物に似せる生成、声の合成、学習データへの再利用、Content Credentialsなど来歴情報の保持を納品条件に含めます。

来歴メタデータは透明性の手掛かりになりますが、添付されているだけで権利処理が完了した証明にはなりません。また、SNSへのアップロードや画像処理でメタデータが変化する可能性もあるため、原本、公開用データ、承認記録を別々に保管します。

契約には禁止事項と事故対応まで入れる

契約や発注書では、利用可能なAIツール、入力してよい機密情報、実在人物・著名人の生成、他者の声や作風への類似、第三者素材、商用利用条件、ラベル判断の責任者を決めます。ツール名だけでなく、利用規約や機能が更新された場合の再確認も定めます。

広告案件では、AI表示とPR表示の両方を誰が確認するかを明記します。広告主が最終承認する場合でも、制作側がAI利用箇所を申告しなければ判断できません。申告フォームには、生成箇所の秒数、対象レイヤー、人物・音声、現実的表現の有無、プラットフォーム設定の予定を入れます。

公開後に未申告の生成素材、権利侵害の申立て、誤認を招く表現が判明した場合に備え、公開停止、差し替え、関係者連絡、証拠保全、プラットフォームへの説明を行う順序も決めます。削除だけを急ぐと検証に必要な記録まで失うため、アクセス制限した原本とログを保全します。

公開前レビューを5段階で回す

最初に制作担当がAI利用箇所を自己申告し、元素材と出力を素材台帳へ登録します。次に編集担当が、現実的な人物・場所・出来事の生成や大幅改変があるかを確認します。3番目に案件担当が広告・PR表示を確認し、4番目に権利担当が人物、声、音源、画像、商標、二次利用を確認します。最後に投稿担当が実際の入稿画面でAI設定と表示位置を確認します。

判断画面はスクリーンショットまたは記録票で残し、プラットフォーム、アプリ版、確認日、承認者を記載します。仕様は更新されるため、「前回と同じ案件だから同じ設定」と決めず、重要なキャンペーンでは公開直前に公式ヘルプと入稿画面を再確認します。

公開後24時間以内に、ラベル、広告表示、字幕、リンク、サムネイルが想定どおり表示されているかを確認します。自動ラベルが付いた場合や表示場所が変わった場合は、素材台帳へ追記します。月次で事例を振り返り、判断が割れた箇所を次回のチェックシートへ反映します。

参考・出典